第2章 アネモネの夢51~99
58
本日はプール当日です! ナイトプールなので、休日の夜ではなく金曜日の夜です!
運転は前回の慰安旅行同様に雹牙さんと晴久君が担ってくれて、私と市ちゃんはキャッキャとプールに思いを馳せてあれこれ話している間に着いていた。
早速受付をして中に入ると更衣室で水着に着替える。ちょっと恥ずかしいけど上着は持ってきてないのでパレオを腰に巻いて、巻きスカート風にしてみるけどこのパレオ凄い透け感で色々ほんとに恥ずかしい。
更衣室からプールサイドへ出ると、人待ち顔で雹牙さんと晴久君が立ってて周囲を綺麗なお姉さんたちが牽制し合いながら囲んでいたけど、雹牙さんがこちらを見て僅かに表情を緩めたのでなんとなく優越感。
多分、向けられた視線も表情の緩みも隣でにこにこしてる市ちゃんのおかげだろうなと考えたら、このプールの話をした日に市ちゃんにまで嫉妬した自分の情けなさを思い出してちょっと凹んだ。
「市」
「晴久、待たせちゃった?」
「大丈夫だ」
「すみません、遅くなりました」
「構わんが、これを着ておけ」
「? はい」
晴久君の声に市ちゃんが申し訳なさそうに声を掛けて会話しているのを聞いていたら、隣に雹牙さんが立ったのに気付いて我に返る。
私も待たせちゃったからと謝れば一瞬眉間にしわを寄せて周囲を見た雹牙さんがその謝罪を軽く流しながら自分が羽織っていた上着を私の肩にかけてくれた。
どうしたんだろうと首を傾げたが無言だったのでとりあえず袖を通してみたら、褒めるように撫でられて嬉しくて顔が緩んでしまった。
ぽんぽんと跳ねた手が背中に回って歩くように促してくるので足を動かすと、晴久君と市ちゃんも手を繋いですぐそばを歩いてた。移動した先はバルーンで出来た椅子みたいなマットシート。予約限定のそこはドリンクとかが飲めるシートです。
「予約してたんですか?」
「ああ、取れるかは判らなかったがな」
「すごーい!」
「花火はもう少し先だってよ。泳ぎに行くか?」
「うん!」
私が雹牙さんに聞いている間に市ちゃんはシートに飛び乗ってました。うん、可愛い。思わず和んでにこにこしていたら、肩を叩かれて振り返ったら頬に指が刺さった。