第2章 アネモネの夢51~99
「何やってるアホ」
「いだっ、いや、大きいなって」
ペチンと額に一発デコピン食らった百合ちゃんが額を押さえて悶える、雹牙のデコピンの痛さは私も経験済みなので。よく怒られたなあと遠い目をしながら2人の様子を見てクスリと微笑んだ。
いやあ、お兄さんに恋人できたら複雑なんだろうけど百合ちゃんなら大歓迎。恋人じゃないって?時間の問題でしょう?
雹牙はずっと市と一緒に居てくれたから、幸せになって欲しいんだけど。黒羽と昴はそこんとこどうなのかな?彼女いるって話は聞かないけど。
「黒羽とか昴はその方面、雹牙よりも遥かに柔軟そうだよね」
「うーん、でも作る気皆無でしたからね」
「やっぱ市に遠慮してる?」
「いえ、遠慮ではないんですよ。昔は姫様が居ればそれで良かったんです」
「今は?」
「今ですか…姫様の幸せが一番ですので達成されなければ興味が無い。という部類」
「おっふ、原因市だった」
「まあ、あの姫様も晴久が居ますし」
「"あの"は余計デス」
申し訳ない話だけど、忙しくて恋人の関係はなかなか進んでないから、いつか晴久に捨てられるんじゃないか気が気じゃないのですがね。
自分のペースで良いって笑ってくれた晴久に甘える私も雹牙の事言えないのかなって、そう呟いたら黒羽に笑顔で撫でられた。
いや、あのね。恋愛面ほんと素人だし。晴久に引っ張って貰ってばっかだし。
「姫様は姫様のままでいいんですよ」
「努力はします」
私は何とか進展しないかがんばります。はい。