第2章 アネモネの夢51~99
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本日は帰宅日です。朝風呂も頂いたので出発がのんびり。つまり、まともに観光する時間はないらしく、有名な牧場施設に立ち寄ってそこでお昼とちょっと動物と触れ合ってから帰路に着くらしいです。
昨日もお肉だったのになぁ……と思うけど、今日行く場所は養豚場から出来た所で、いくつかレストランがあるけど選んだところはバイキングレストラン。
食べきれなかったりするのを考えたら、好きな物を好きなだけ堪能できるので良いよねって話でここになった。
「うっわぁ……おいしそう! 種類が多くて食べきれなさそうでもあるけど」
「百合ちゃん、ちょっとずつ全種類制覇!」
「残せないらしいから、ほどほどにな」
「六十種類とか無理だろ。腹壊すぞ」
呆れた表情で見る男性陣をよそに、順番が来て席に着くと市ちゃんと二人で喜び勇んで料理を取りに行く。
雹牙さんと晴久君を振り返ったら、先に取ってこいとばかりに手を振られたので遠慮無く取りに行った。
色々迷いつつ選んで席に戻ると雹牙さんがお皿を覗き込んできた。
「雹牙さん?」
「いや、待ってなくて良いから先に食ってろ」
「うん?」
何だろうと名前を呼んだけど、ぽんぽんと撫でられて行ってしまう。
市ちゃんを見ると似たような事を晴久君としてたらしくて、二人して首を傾げてしまった。
その謎は暫くしてお皿を手に戻ってきた二人を見て解けた。
二人は私と市ちゃんの取っていないメニューを持ってきたらしい。しかも、私や市ちゃんが気になってたのばかりを見事に引き当ててた。
「晴久?」
「気になるけど量食えないんだろ?」
「摘みたければ摘んでけ」
「良いんですか?」
きょとんとした表情で二人を見れば、市ちゃんは晴久君に、私は雹牙さんに撫でられて取ってきたお皿を勧められた。
市ちゃんと顔を見合わせると、クスリと笑ってお礼を言って自分たちのも勧めて一緒に食べ始めた。
デザートまでしっかり、男性二人のおかげでほぼ全種類を制覇して、満足した私と市ちゃんは車に乗って暫くは談笑していたけど気が付いたら寝てしまっていた。