第2章 アネモネの夢51~99
「いやー、お市様、驚いたでしょう」
俺と晴久、百合と市、タオルを巻いた状態で風邪を引くからと露天の湯に突っ込まれたのはいいけど何でお前も入る。
腰にタオルを巻いた状態でげらげらと笑ってうちは混浴だというこの男にクナイを投げたい衝動に駆られながらも黙って温まっていればじっと百合の視線が丹波を見つめる。
「丹波さんシックスパックですね、ムキムキ」
「市も丹波さまの裸は初だなあ」
「お前等…」
お市様は平常運転か、百合も隠してれば上半身は平気だったなと思い出し。深い深い溜め息を吐く
「丹波さま筋肉触っていいー?」
「お市様が?尼子の坊主の見てるんじゃ?」
「まさかあー、小さい時に見てるくらい」
「私は織田のお家にお世話になった時、ばったり雹牙さんと会って筋肉見ましたね」
「雹牙、晴久、どこまで進んでるんだ?接吻止まりとか言うなよ?」
「「沈めクソ丹波」」
目にも止まらぬ速さの体術を駆使して晴久と共に温泉に沈ませればやっと丹波が黙った。ごぼごぼがぼがぼ言ってるが知らん。こいつなら無呼吸2分は余裕だ。
ヤツの言っていた事は忘れろと2人に言い聞かせてから、丹波を引きずって風呂場を出ると復活した丹波にじっと見つめられてお前等の甲斐性はどこだと
晴久は兎も角何で俺にも言うんだ?ああ?
「俺を産ませたあと女を殺したお前に甲斐性云々言われたくないな?」
「いやあ、今世に生まれて改めて思った、孫は見たい」
「手前ェ」
「雹牙どうどう、ここで婆娑羅は止めろ」
うっかり本気で殺しにかかるとこだった、晴久に全力で止められたが…孫と言われて百合を思い浮かべた自身に、少し、動揺した。