第2章 アネモネの夢51~99
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十分に美味いお菓子を堪能し満足したのかお市様と百合が機嫌よく手を繋いで歩く、旅館に戻ると丹波が出迎え「夕飯のリクエストはありますか?」とお市様と百合に問う。ここのグルメは何が評判だったか
「お市様、伊賀牛は如何です?焼肉、ステーキ、すき焼き」
「「お肉!!」」
「おい、市…百合…」
「あっはっはっは!ならお嬢さんたちには伊賀牛フルコースで振る舞わせて頂きますよ」
「「やったー!」」
機嫌良さそうに市と百合の頭を撫でて豪快に笑う丹波に、雹牙はがっくりと項垂れて部屋に戻る。男女襖で分かれてはいるが部屋は繋がっていて、浴衣に着替えて襖を開ければ
市と百合も着替えていて、窓からの絶景に喜びの声を上げていた。
雹牙は、酷く懐かしい景色からビルや建物が建っているのを眺めて時代も変わったものだとぼうっとしていれば
いそいそと湯あみの支度を行う女共に「早いな」と声を掛ける
「ここの温泉評判なんだって」
「市ちゃんと行ってきますね」
「あー、俺も行くかな」
雹牙もいこうぜと晴久に誘われ、着換えとタオルを持ち。
市達より遅れて男二人で向かうと、人がもう居るのか話声が聞こえる。男にも人気なのかねと晴久と共に露天風呂への扉を開ければ
視界にお市様と百合が飛び込んできて驚いて反射で思い切り扉を閉めたら晴久が挟まった。悪い。
というかここ混浴か!丹波は何も言ってなかったな!!
扉の向こうで、俺達の登場に百合もお市様も悲鳴を上げていたので取り敢えずバスタオルを巻けと無言で二枚ぶん投げた。
「あー、いてえ、雹牙お前もムスコ隠せ」
「もう巻いている」
「はええな!」
風呂場の騒動に気付いたのかオーナーの丹波がこちらに来たと思ったら俺達の様子に転がって笑い始めた。お前分かってて何も言わなかっただろう!?