第1章 アネモネの夢00~50
「うーん、無理だと思う。とてもお忙しい方だし、昨日は偶々お仕事で社長に会いに来て顔を知ってたからご一緒出来たけど連絡先も知らないもん。さすがに友達に言うのは気が引けるし」
「そっかぁ……。でも、凄いかっこよかったよねー」
「うんうん、それは私も全力で頷くわ。ほんとイケメン、眼福、あれで声も凄い良いんだよ!」
「キャーッ! 羨ましい!!」
「うふふー。でも、これで向こう五年分くらい男運使い果たした気がするー」
「あはは! そう腐らないで、まだまだ大丈夫だって」
元彼に振られたことを知ってる同期なので軽い調子でそう言えば、バンバンと肩を叩かれて先にロッカーを出て行った。休憩中に携帯触りに来ただけみたいだけど、結構力いっぱい叩かれたな、痛い。
気を取り直して着替えを終わらせると荷物を持って会社を出る。
家に帰る前にお茶とお茶請けを買おうと思っていたらラインが着信を告げた。
確認すると市さんからでお菓子を作ったから持ってきてくれるとの内容、なんて女子力の高い。
それなら軽くご飯を食べてから帰ろうかなと考えて、そういえば何時に来るんだろ? 今更だけど問いかけても返事が来ないからやっぱり早めに帰ろう。
とりあえず、お茶はお気に入りを新品で出したいから軽食ついでに買いに行こう。
そう決めていきつけのお店への近道のためにいつもとは違う帰り道を選んで歩き、行きつけのお店をいくつか回ってほしい物を買ってから自宅に戻った。