第1章 アネモネの夢00~50
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「夕食、食いたい物あるか?」
「ええと、」
藍羽百合の同僚の助け舟もあって上手い事後を追おうとロビーで待って居るとあの男が藍羽さんを迎えに来ていた。
藍羽さんの表情はまるでその男に愛想笑いをしているようで、腕を組んで歩く。駄目だ、そんな男に何の弱みを握られているのかわからないが僕がきっと救ってみせる。
心の底にある言葉に首を横に振り、2人が乗った車をマークし、自分も己の車に乗って後を付けることにした。
もう直ぐ夏になる季節の変わり目。
神楽は忍装束に着替え建物の上から雹牙の車と、男の車をマークして建物の上を尾行する。昼間に会った男は藍羽百合様を無理矢理食事に連行しようとした様子から、ストーカー行為を行っているのだろうとは察した。
「まさか雹牙様の良い人だとは」
雹牙様本人からは聞いて無いが、彼の人がお市様以外の女性を気に掛ける事なんて今まで無かった様子で、前世でも独身を貫きお市様に忠誠を誓っていたのは我々忍の中でも知らぬ人は居ない。
お市様も気に入ってる女性ならば応援する他は無い、ならこのストーカーの男の問題を早急に対処する他無いのだ
雹牙様の仰っていた藍羽様のマンションの近くに車を停め、お2人が出て来たのにはあの男にマンションの場所を知らせぬ為。レクサスから見えない位置に男も車を停めて、ゆっくりと車から出ると、まるでお2人を探す様に周辺を見渡す。
尾行されてると気付いてらしたから、その場所から藍羽様のマンションは見えない位置。
近くのスーパーに入ってったので夕飯の食材を買いに行ったのを確認してから地に降りて男の後を付ける。
雹牙様の車に近付き、何かを探る男は、助手席のドアの前にしゃがみ込んで何かをしてからその場を離れる。男はそれをして満足したのかそのまま自分の車に乗り込み帰って行ったようだ。
お2人が買い物から戻る前に雹牙様の車に近付き、男が触れてた、ドアの下の方を手で探るとコツンと指先に当たる感触に眉を寄せる