第1章 Sugar1
「俺、妬いてんの。わかんない?麻璃央くんとかにさ、いっつも笑いかけて。あいつらだって男だよ、いつお前に気、持つかわかんないじゃん。」
「・・・へ?」
急に、怒って嬉し過ぎること言わないでよ。
足りない脳がついていかないんだけど。
「妬くってことはどういうことかわかる?」
「?」
「お前ってほんと、面倒くさい。」
それは、自分でも自覚してる。
ごめんなさい。
「俺ってほとんどデレないツンデレなの。」
「うん?」
十二分にわかってますけども。
「女に対してデレるのって、お前くらいなの。」
そうなの?
「それって、どういう意味かわかるでしょ?」
「どういう意味?」
ちゃんと言葉を聞かせて・・・。
「ぜってー言わない。お前わかってて聞いてるもん。」
なぁー!!
今なら、言ってくれると思ったのにっ!
この猫は、そうひと筋縄ではいかないか・・・。
あ、猫?
稽古場では、麻璃央さん達に妬いて、家では自分の猫に妬くがいい。
「ぷにおーもちおー!流司さん構ってくれないから、労わって!」
ぷにおともちおは流司さんの愛猫。
「にゃー。」
お兄ちゃんのぷにおが私の指をペロっと舐めた。
弟のもちおは、膝の上に乗ってきて、短い足を必死に伸ばして、口元を舐める。
もちおはマンチカンで、足が短い。
ヤバい、可愛過ぎる。
流司さんよりも、猫の方がデレてくれるのね・・・。
「あっ・・・!」
「朝から、なに、やらしい声出してんの?」
背中を指でツーってやられた。
私は背中だけじゃなくて、いろんなとこが弱い。
擽られると、少しも耐えられない。
もう、やだ・・・恥ずかしい・・・。
昨日のことを思い出して、下半身が疼いた。
もう、猫どころじゃなくなった。
ソファーに座って、じっと疼きに耐え続ける。
「どした?」
「・・・なんでもない。」
流司さんの声が身体の中に、甘く響く。
普段通りの声なのに・・・。
彼の手に目がいって、その手で私を掻き乱して・・・。
そんな欲望が私を支配した。
必死に耐えた。
自分はこんなに、欲深かったんだ・・・。