第3章 Sugar3
「心羽・・・」
「流司さん、打ち上げ行くよ!」
「は・・・?」
流司さんの言葉を遮った。
流司を連れてきて。
私は麻璃央さんにそう言われた。
わかってる。
ちゃんと話して来い。
それが麻璃央さんが、本当に言いたかったことなんて。
でも、私が言えることなんて、嫌だ、なんで?どうして?嫌いになった?だけだ。
彼を困らせるだけだ。
だから・・・
「みんなのとこ、行こ?」
そう言って、彼の手を取る。
「責めないのかよ。なんで?どうして?って聞かねぇのかよ!」
少しだけ声を荒らげる彼に、笑顔を向ける。
「辛い、だけなんでしょ?私は・・・そんなこと思ったことないけど、これからだってきっとそう。でも、流司さんは、辛いんでしょ?私、流司さんにそんな思い、させたくない。」
やめて、そんな辛そうな顔しないで。
私は、貴方の笑ってる顔が好き。
目を細めて、八重歯を見せて。
「麻璃央くんのとこ、行くの?」
「行かないよ。・・・私の好きな人は、ずーっと流司さんだよ。」
「なんだよ、行きゃあいいのに・・・」
いつものように、意地悪に言う。
でも、いつもと違うところがある。
彼は今、泣きながら笑ってる。
そんなの、めちゃくちゃ辛そうにしか見えないよ。
いつもの行くなよって感じじゃなくて、行かないで・・・って感じだ。
彼の頬に触れて、涙を拭ってあげたいけど、今の私には出来ない。
本当は、この手を取ることすら出来ないんだ。
私と彼はもう、恋人じゃないんだ。
なんでよ・・・泣いちゃうくらい私のこと好きなくせに、どうしてこの選択をしたの?
辛いなら、それをどうしていくか考えるべきじゃなかったの?
どうしたら、お互いの辛さを減らして、付き合っていけるか、話し合わなきゃいけなかったんじゃないの?
でもさ、流司さんにとって私たちの関係は、バイバイの一言で終われるものだったんだよね。
なら、私が言えることはない。
ただ一言、言わせて欲しい。
「愛してる。」
「っ?!」
流司さんの私の手を握る手に、力が入った。
「もう行かなきゃ。みんな待ってるよ?」
でも、やっぱり、貴方の彼女でいたかったな・・・。