第1章 Sugar1
「・・・ん?」
唇に触れたのは、流司さんの唇じゃなくて手だった。
「誰がさせるか、バーカ」
ムカついたので、睨んでやった。
「可愛くねー」
可愛くなくて、すみませんでしたね。
てゆか、そろそろ手離してよ・・・
鼻まで押さえてるから、息できなくて苦しいんだけど・・・。
耐え切れなくなって、彼の手をどけた。
「殺す気!?めっちゃ苦しかったんだけどっ!!」
そう言う私を彼は、無表情に見つめて、起き上がった。
「あー心羽からかったら、腹減ったー」
そう言って、テーブルがあるところに座り、ご飯を食べはじめた。
こういうことでからかうの、やめてよ・・・。
泣いちゃいそうになるから・・・。
私もテーブルのところに座り、一緒にご飯を食べはじめた。
「美味しい?」
「さぁ」
もっと反応を見せてよ。
ねぇ、流司さん。流司さんは、私のこと好き?って聞く女は嫌い?
私、貴方の気持ちが知りたい。
私のこと好きじゃないなら、はっきりそう言って。
別れたいって言って。
きっとその方が楽になれる。
「流司さんは好きじゃない人でもキスできる?」
「なに?急に」
「できる?」
「したくない」
私とキスしないのは、好きじゃないから?
「私と別れる?」
「なに?怒らせたいの?」
「ごめんなさい・・・」
貴方の気持ちがわからない。
流司さんが急に箸を置いた。
どうしたのかと思って見たら、食べ終っただけみたい。
空になった食器を持って、キッチンに真っ直ぐ行く・・・と思ったら、私の頭に軽く手を置いて、
「俺がお前と付き合ってる理由くらい、わかれよ」
そう呟いて、キッチンに行った。
わからないから、困ってるんだけど・・・。
流司さんが私を好きなはずない。
好きなら好きって言ってくれるもんじゃないの?
ちゅーもぎゅーもしてくれるもんじゃないの?
私に甘い貴方を見せてよ・・・。