第15章 Sugar15
2人を置いてリビングに行こうとしたけど、やっぱやめた。
「主、俺のこともちゃんと見てよ。」
彼女だけに聞こえるように、耳元で囁いた。
肩がびくっと揺れて、頬だけじゃなく、耳まで赤く染まっていく。
「心羽ちゃん?どうした?」
「な、なんでもないです!」
「はははっ!」
笑ってやると、睨まれる。
「清光はやめて!」
「どうして?」
ほんとにこいつは、清光に弱い。
そんなに好きなんだろうなぁ。
普段の俺の時より、可愛い反応する。
「ほら、宏文くん入って!」
「あ、うん!」
いつまでも宏文くんを玄関に立たせるわけにはいかない。
リビングまで誘導して、心羽にご飯の準備をさせた。
「毎日、彼女の手料理食ってんの?いいなぁ・・・。」
「別に毎日じゃないし、手抜き多いよ?誰か来た時と朝ぐらいじゃない?ちゃんと作ってくれるの。」
最初の頃は、一生懸命作ってくれてたのになぁ。
最近はもう簡単なものになってきてる。
それでも毎日、ちゃんと作ってくれることには、感謝してる。
「流司さんはいらないのかなぁ?」
「誰もそんなこと言ってないだろ。疲れてても毎日、俺の為に作ってくれてんでしょ?」
「そそそんなこと言ったって、なにも出ないからっ!」
世の中の男の意見もわかる気がする。
ツンデレ、最高。
顔真っ赤なんだけど。可愛い。
「顔、緩んでるねぇ。」
「そんな?」
うんうん、と頷いてみせる、宏文くん。
緩んでるかどうかは知らないけど、彼女といると楽しいし幸せだから、そのせいかな。
「楽しいよ。心羽といると、楽しい。」
「流司がそんな顔するなんて、相当彼女に魅力があるんだね。」
「宏文くんは、その魅力に魅せられちゃダメだよ。」
呑気に宏文くんは笑う。
結構、真面目に言ってんだけどなぁ。
「もう・・・そういう内容は、聞こえる様に話さないで。恥ずかしい・・・。」
料理が入った皿をテーブルに置きながら、また顔を真っ赤にして、そう言った彼女。
「そういう反応も良いよね。」
「からかってたの?」
本心だけど、笑って誤魔化した。
じゃないと、俺が顔を真っ赤にしそうだから。