第15章 Sugar15
「今日、何時?」
「夜、家で食べる。そんな遅くはなんないけど、何時になるかはわかんない。」
玄関でそう会話を交わして、別れた。
早く帰ってきたい。
今出たばっかで、撮影場所にも着いてないけど。
早くあいつに会いたい。
1秒も離れたくない。
結婚しても、ずっと一緒にいられないのはわかってる。
お互い仕事もあるし、付き合いもある。
「流司、早く帰りたいって顔してる。」
撮影の合間につばさくんにそう言われて、軽く睨んだ。
「ほんとのことでしょ?心羽ちゃんに会いたいから?」
「別に・・・。」
本当のことを言われて、うん、と返すのもなんか恥ずかしくて、そっぽを向いた。
「なに?噂の彼女とは順調なの?」
宏文くんが会話に入ってきて、にやにやしながらそう聞いてくる。
「ラブラブだもんね?」
「宏文くんは心羽に会わせたくない。」
「いや、なんで?」
だって前に心羽が、にっかりのこと考えてたから。
それって、にっかり青江が好きってことでしょ?
「イケメンだから。」
「彼女は、そういう娘なの?イケメンだからって、流司以外も好きになるの?」
あいつのこと、そういう風に言われたら、まじギレするから。
「絶対ならない。もし俺以外好きになることがあったら、その時はもう、俺のこと好きじゃないから。」
「だったら、イケメンが会っても良いんじゃない?自分がイケメンって言ってるわけじゃないけど・・・麻璃央とかだってイケメンでしょ?」
いやなんで、麻璃央くんの名前出すの?
「麻璃央くんは特に会わせたくない。でもまぁ、もうああいうことはないと思うけど・・・。」
「なんかあったの?」
「まぁ、色々と・・・?」
詳しくは言えないから濁した。
俺の言い方が悪かっただけだけど。
でも、もう大丈夫。
あいつは俺を選んでくれるって、わかってるから。
もう空も暗くなってる。
あいつに会えるのが、近付いてる。
「ねぇ流司、今日流司ん家行って良い?」
「は?」
思ってもないことを言われて、先輩にも関わらず普通に、は?、と言ってしまった。
宏文くんは、なにを考えてるんだよ。