第15章 Sugar15
彼女の髪に鼻をくっ付けて、匂いを嗅いだ。
「まだシャワー浴びてなーいー。やめて。」
「やだ。」
シャワー浴びてないとかどうでもいいから。
汗かいててもいいから。
「伸びたね。」
「うん。そろそろ結わなきゃ邪魔になってきた。」
彼女はいつもショートだった。
切ると俺くらい短くする。
でも今は、肩よりも大分長くなっている。
「伸ばすの?」
「切る暇がないだけ。」
どっちでも似合うし、俺は気にしないけど・・・。
「長いのも見てみたい。」
「たぶん、似合わないよ?子供の頃は長かったけど。」
いいの、お前は可愛いからどんなでも似合うんだよ。
「伸ばして。」
「良いけど、邪魔で我慢出来なくなったら、切るよ?」
「うん。」
毛先も切ったりしてないし、何年か前までめちゃくちゃ染めてたらしいけど、毛先まですげぇ綺麗なんだけど。
なんなの、ムカつく。
俺はこんな傷んでのに。
でも、前よりはましになった。
彼女が手入れしてくれてるおかげで。
「お前が使ってるシャンプー使ってみよっかな。」
「私、適当だよ?ただ、さらさらになるやつ使ってるだけ。そんな高くないし、その辺で買えるやつ。」
「いくらすんの?」
「ボトルで1000円しないくらい。シャンプー、コンディショナー、トリートメントで3000円しないよ?」
今度こっそり、こいつの使ってみよ。
手の甲の方から指を絡めて、ぎゅっと握った。
小さくて温かい手。
俺は何度、この手に助けられたかな・・・?
「心羽・・・。」
1度名前を呼び、甘える様におでこを彼女の肩に預けた。
「甘えん坊。」
「いいじゃん、別に。こういう俺も好きでしょ?」
そうだね、と言いながら身体をこちらに向ける彼女。
「私も甘えたい。」
そう言って、ぎゅっと抱き着いてきた。
「結局、俺じゃなくてお前が甘えるんじゃん。」
「流司さんも甘えれば?」
すりすりしてきたから、なんか好きとか可愛いこと言うかな?って思ったら・・・。
「お腹痛い・・・。」
だって。
仕方ないから、腰をさすってあげた。
向き合ってるから、腹は無理だわ。