第15章 Sugar15
「もう帰りたい、したい。・・・いてっ!だから峻也、叩くのやめてくれる?」
「じゃあ、変なこと言わないで!」
頭って酷いでしょ。
せめて、肩とかにしてよ。
「まだ帰らないよ。」
「なんで?」
「帰っても、流司さんがしたいこと出来ないから。」
どういうことだよ。
そういう気分じゃねぇの?
お預けかよ。
「そういう気分じゃないなら仕方ないか。無理にするつもりもないし。」
我慢か・・・。
出来るかな。しなきゃいけないか。
「気分とかじゃなくて・・・その・・・。」
「帰ってから聞く。皆の前じゃ言えないことなんでしょ?」
こくっと頷いてみせる彼女。
なんかあったのかな。
気分ならここでも言えるはずだし。
したいのはしたいのかな。
少しすると、皆が思い思いに話始める。
俺がどんなに心羽に変態発言しても、峻也に叩かれることはなくなった。
「流司さん、もういい加減にして・・・。」
顔を真っ赤にして、下を向く彼女。
くそ可愛過ぎるだろ。
もう、なんでそんな可愛いの?犯罪級でしょ。
「ひゃっ!流司さん・・・?」
頬にキスをして、肩に頭を預けた。
可愛過ぎて我慢出来なかったわ。
「酔ったかも。」
「け、結構前から酔ってたでしょ!」
めちゃくちゃ動揺してんだけど。
あぁあ、これでお預けとかまじ拷問じゃん。
言いたい。
言っても、今なら皆にからかわれないよな。
「心羽、可愛い、好きだよ。」
「なっ!あ・・・うっ・・・ば、バカっ!」
いつも好きって言わせるくせに、俺から言うと、バカとか言うの?
「そんなこと言うんなら、もう言ってやんないよ?」
「意地悪・・・。」
ぼそっと呟いた彼女の声で、元気がなくなったのがわかった。
「じゃあ帰ろ?もう帰っても文句言われないでしょ。」
彼女の手を取って、立ち上がった。
少しくらっとしたけど、気力でなんとかした。
気付いたのか、彼女が俺の腰に手を回して、支えてくれる。
皆に帰ると伝えて、店を出た。
外に出ると、冷たい風が酒で火照った身体を冷ましてくれる。
「大丈夫?タクシー呼ぶ?」
「大丈夫、近くだし。」
彼女に支えられながら、ゆっくりと帰路についた。