第15章 Sugar15
話題を変えるため、違う話を振る。
「そういえば、稽古の方はどうなの?」
心羽はいつも、源氏兄弟の話しかしない。
1番見てるからだと思うけど・・・。
仕事でも嫌だよな・・・他の男見るなんて。
でも、我慢するしかないし。
「心羽ちゃんがいつも可愛い!」
「麻璃央くんには聞いてない。」
麻璃央くんがめちゃくちゃテンション高く言うもんだから、皆が笑う。
てか、稽古のこと聞いてんだし。
心羽のこと聞いてないし、それに彼女がいつも可愛いのは俺が1番知ってる。
「もう皆通して出来るんじゃない?全然仕上がってはないけど。」
「そりゃあ、稽古始まってそんな経ってないしな。」
セリフも殺陣も覚えたってことか。
それをどう組み合わせて良くするかってところ?
あと、細かい動きとかを覚えるのか。
セリフは皆、すぐ覚えるだろうし、1日あれば覚えられるでしょ。
あぁ、早く舞台やりてぇ。
映像も好きだけど、やっぱ舞台の方が俺は好きだ。
「俺も刀ミュやりたい。おちゃろくもやってたい。」
「この前まで単騎やってた人が、なに言ってんだか。」
この前までやってたとか関係ない。
刀ミュが、茅野さんがいるところが俺は1番成長出来る、変われる。
刀ミュをやって俺は演技の仕方も、意識も変わった。
「加州は俺だけしか出来ないんだよ。」
「加州は今回出陣ないから、諦めて。」
早く加州を出して。
俺も出たい。
「総隊長を差し置いて・・・。」
「自称でしょ。」
「流司さん、麻璃央さん、その辺で終わってください。子供みたいな争いしないで。それに流司さん、全部麻璃央さんに正論言われて負けてるじゃん。」
こいつ・・・許さねぇ。
「うっせ。俺は加州だー!総隊長だー!」
「だから自称総隊長さん、今回出陣ないから。」
テーブルにとっぷして、横目で彼女を見た。
「なによ。」
お前はどっちの味方なんだよ。
俺の彼女のくせに。
加州が1番好きなくせに。
頭、クラクラする。
飲み過ぎたかな。
まだそんな飲んでないはずなんだけど。
「酔ったの?大丈夫?」
彼女が優しく頭を撫でて、声をかけてくれる。
気持ち良い・・・。