第15章 Sugar15

なにが見とれてねぇだよ。

そんな目で見んなよ。


｢へぇ？イった後みたいな顔してたけど？｣


｢はぁ？！なに言ってんの、バカ！｣


少し上を向いて笑った。


あぁあ、他の奴に見られたくねぇ。

くそ可愛い。


｢いちゃいちゃすると、麻璃央がまた拗ねるよ？｣


｢してないですっ！｣


つばさくんの言葉にすげぇ勢いで答える彼女。


少し睨むように麻璃央くんを見ると、彼もそれに答えるように軽く睨んでくる。


大丈夫、こいつはもう俺のものだ、ってわかってる。

でも、まだ怖いんだ。

麻璃央くんは俺にないものをたくさん持ってるから。


人それぞれ違う。

俺は他とは違うものを求めてる。


｢心羽、俺と麻璃央くんが似てるとこは？｣


｢え、なに急に。似てるとこ？うーん、タイプは違うけど同じイケメン。｣


こいつに聞いたのが間違いだったかも。


睨むと慌てて、ウソだ、と言い出した。


｢確かに2人ともイケメンだけど、仕事に対する熱心さ？とか。思いとかは違うと思うけど、2人とも仕事、ファンのことをすごく大事にしてることは伝わってくるよ。｣


｢照れちゃう。｣


麻璃央くんが両手で顔を隠した。


俺はまだまだ麻璃央くんには適わない。

でも、こいつに対する想いだけは負けない。


｢麻璃央くんって、心羽さんのこと好きなんですか？｣


｢ベビたん、直球だね。傷口に投げてきたね。｣


傷口って･･･本人の前でそういう風に言うなよ。

こいつだって傷付いてるんだから。


｢好きだよ。でももう、当たって砕けてるから。2回程･･･。わかってたよ、始めから流司には適わないこと。｣


｢まじな方だったんですね。ごめん、俺･･･。｣


｢いいよ、もう終わってることだし。｣


麻璃央くんは明るく宏規に答えた。


どうしてこう、皆揃うとこういう話になっちゃうんだろうな。

俺たちとしては、避けたい話題だ。

心羽も口を閉じてしまった。


宏規は知らないから、しようがないけどさ。


｢2回？お前、いつの間に2回目いった？｣


｢少し前。｣


｢全然知らなかった。｣


大地くんが知るはずないし。

てか、他の皆も知らないでしょ。

言えるはずない、あんなことあったなんて。