第15章 Sugar15
彼に頭を撫でられるのが好きだ。
少し乱暴で髪が乱れるけど、手の温度や大きさ、形、全部が気持ち良い。
「ほら、そうやっていちゃいちゃするー。」
「麻璃央さんは、涼さんといちゃいちゃしててください。」
「心羽ちゃん、俺を巻き込まないで。俺は別に仲良いってことだから、良いと思うよ。」
さすが涼さん、伊達に流司さんのお隣さんで親友やってないね。
「ほら、麻璃央さんも涼さんみたいに広い心を持ってください。てか、麻璃央さんだけですよ、そんなこと言うの。鳥越さんもちょっとうるさいか・・・。」
なんか鳥越さんもイラっとするけど、麻璃央さんはもっとイラっとする。
私たちはただ、したいことをしてるだけ。
それに、こういうことは皆だから出来るんだ。
なんにも知らない街中の人々の前で、触れ合ったりなんて全然しない。
手を繋ぐことでさえ、躊躇する。
彼がなかなかしてくれないし・・・。
「麻璃央さんは彼女作んないですか?そしたら、私たちのこときっと、言えなくなりますよ。」
最後まで言ってしまってから、はっとした。
私、最低だ。
何日か前に、好きだって言われたばっかりなのに・・・。
彼の気持ちを知っといて、ああいう言葉は傷付けるだけだ。
「うっさいな、リア充が。早く爆笑すれば良いんだよ。」
「麻璃央、拗ねんな。」
隣にいる大地さんが、彼の頭をガシガシと撫でた。
「別に、拗ねてねぇしっ!」
完全に拗ねてんじゃん、可愛いなぁ。
皆が笑い、温かい空気に包まれる。
ほら、麻璃央さんは周りを温かく出来る人なんだよ。
すぐ、私よりも良い人見つかるよ。
貴方にはたくさん魅力があるから。
早く、幸せになって欲しいな・・・。
「飲まないの?」
「ん?あぁ、うん。すぐ酔っちゃうし・・・。流司さんになにされるかわかんないし?」
「なんかされたいの?」
ほんとに意地悪だなぁ。
なんかされるかもしれないから、飲んでないのに。
八重歯を見せて意地悪く笑う彼に、胸が鳴った。
ほんとに可愛いな、もう。
「見とれてないで、食えよ。」
「べ、別に、見とれてないしっ!」
嘘、完全に見とれてた。