第15章 Sugar15
「俺は別に隣じゃなくていいんだけど。いっつも傍にいるから、皆と一緒の時くらい、離れてもいいし。」
「久しぶりのツンツンですね。」
「あ?」
いや、睨まないでよ。
最近ずっと、甘々のデレデレだったじゃん。
「そんな気持ち悪い程、デレデレしてないけど?」
声に出てましたか。
「大丈夫、私は気持ち悪いなんて思わないから。」
逆に嬉しいから。
これからもいっぱいデレてね。
「デレようと思ってデレてないから。」
私、声に出してるつもりないんだけどな。
「エ・・・。」
「エスパーじゃねぇから。完全に声に出てるから。」
「出してるつもりなかったんだけどね。」
私が声に出してるじゃなくて、流司さんがエスパーなんだ。
きっとそうだ。
「もし声に出してなくても、顔に出てるから。」
「そんなわかりやすい?」
「俺だからわかるのかもね。」
流司さんには全部お見通しだもんね。
敵うわけない。
「ほら、いちゃいちゃしてんじゃん。なに?俺への当て付け?」
これがいちゃいちゃしてるっていうなら、逆になんだったらいちゃいちゃしてないことになるの?
「俺ら、そんな性格悪くないから、麻璃央くん。」
麻璃央さんにとったら、私たちがいちゃいちゃしてること以上に嫌なことはないんじゃないか、とは思う。
私だったら嫌だもん。地獄だもん。
でも、今まで通りなにも変わらずにいることが、1番良いじゃないか、って思うから。
「初めて見た。心羽ちゃん、いつもと全然違う。」
「ん?」
「そうだね。いつもの心羽さんは、可愛いお姉ちゃんって感じやけど、今は完全に、女の子だね。」
そんな違う?
あまり変わらないと思うんだけど・・・。
「そこの兄弟。男の前で態度が変わるビッチみたいな言い方するな。」
「そんなこと言ってないやん!てゆか、その言い方だと、俺ら男じゃないの?!」
たまに方言出すのやめて、可愛いから。
「流司さん以外、男として見たことはない!」
「言い切ったな。俺が初恋なんだ?」
「あ、いや・・・そういうわけじゃ・・・。」
彼が初恋じゃないってことは、他の人を男として見たことがあるっていうことだ。
彼は笑いながら、頭を撫でてくれた。