第15章 Sugar15
皆で居酒屋に行くと、店の前に愛しい人影を見つけた。
どんなに遠くからでもわかってしまう。
シルエットですら、かっこいいんだけど。
「あれ、流司かな?」
「かもね。店の前で待ってるって言ってたし。」
麻璃央さんと峻也さんがそんな会話してる。
そうですよ、完全に流司さんです。
「なんかもう1人いる?」
「そうだね。」
「つばささんかな?」
今日はつばささんと一緒に撮影してたのかな?
隣に影がもう1つある。
隣にいるのに、全然気付けなかった。
近付いていくと、はっきりと顔が見えてきて、流司さんとつばささんだとわかった。
「珍しいですね、つばささんが来るなんて・・・流司と一緒だったんですか?」
「うん。別れようとしてた時にちょうど電話きて・・・無理矢理連れて来られた・・・。」
どんまいです、つばささん。
「中、入ろ。寒い。」
流司さんがそう言うと、皆頷き中に入ってく。
確かにすごく寒かった。
中はすごく温かい。
お酒、どうしよ・・・。
皆がお酒や料理を決めていくなか、私はお酒を飲むか悩んでいた。
てゆーか、流司さん遠い!
なんでこんな遠い席にされたんだ。
端から端なんだけど。
彼の隣にいるつばささんのところにこっそり行って、話しかけた。
「つばささん、席、替わってもらえますか?」
「ん?あ、流司の隣がいいの?」
つばささん、声大きい。
「ダメー。心羽ちゃん、戻りな。」
そう言う麻璃央さんを睨んだ。
「可愛いっ!そんな情熱的に見つめられても、困っちゃうっ!」
バカなのかな?バカなんだね。
見つめてないし、睨んでるんだし。
「前に俺以外睨むなって言わなかったっけ?」
「そんなこと言ってたっけ?」
「言ったよ。そしたらお前、睨まれるようなことするの、俺だけだって言ってたじゃん。」
そんなこと、あったような・・・なかったような?
「とにかく、今日はお前らのことくっ付けないから。なにするかわかんないし。」
「ふーん、じゃあ麻璃央さんが代わりに流司さんの隣どうぞ。」
にっこりと微笑んで、隣に誘導する。
「嫌っ・・・!わかった、心羽ちゃんが隣でいいからっ!」
久々にちゅー見れるかと思ったのに。