第14章 Sugar14
「ねぇ流司さん、すっごく嬉しいんだけど・・・ご飯冷めちゃう・・・。」
しかも流司さん、お皿持ったままだし。
やっと持ったままなのが気付いたのか、めちゃくちゃ謝ってる。
その後は良い雰囲気のまま、ご飯を食べ進めた。
「ごめんね、ご飯食べてる時にあんま言わない方がいいことなんだけど、時間もあまりないし・・・いいかな?」
突然お母さんがそう切り出した。
皆がその言葉に頷く。
なにを話すんだろう。
「心羽、流司くんはあの状態の時のこと、知ってるの?」
あの状態の時っていうのはたぶん、不安定な時のことを言ってるんだろう。
生理中とか、そういうことじゃなくて・・・私は心が弱い。
昔はよく不安定になる時があった。
消えちゃいたくて、仕様がなかった。
今は、彼がいるから我慢出来る。
手首にたくさんの傷跡があって・・・新しい傷は1つもないけど、こんなの、流司さんに見せられるはずない。
いつもメイクで隠してる。
自分が今の仕事してて、本当によかったって思うよ。
彼に嫌われたくないから、教えるつもりも、これからするつもりもない。
本当に後悔してる。
私はもうこの傷と一生向き合っていかなきゃいけないから。
「流司さんがいればあの状態になることはないから・・・いいんだよ。」
「あれも隠し続けるつもり?出来るわけないでしょ。」
嫌われたくないんだよ。
やめてよ・・・こんな時にそんな話しないで。
「あれ?俺に隠し事?」
やめて・・・なにも聞かないで・・・。
「だって・・・嫌われたくない・・・。」
「言うのと言わないの、お前にとってどっちの方が辛い?」
そんな聞き方、ずるいよ・・・。
「あとで・・・あとで必ず言うから・・・。」
「わかった。」
「流司くん、どんな心羽でも、理解して愛してあげて?」
「俺はもうどんなこいつでも愛してます。・・・何回浮気されたことか・・・。」
へ?・・・浮気?
したっけ?
なんのこと言ってんの?
「麻璃央くんと何回した?」
「してないしっ!未遂はあったけど、してない!するはずない!!」
いきなり変なこと言わないでよ。
流司さんのご両親の中で、私、浮気女になっちゃうから。