第14章 Sugar14
そんなからかうんだったら、私だってお返しするんだから。
「え、じゃあ・・・私は愛してるって言ったのに、流司さんは言ってくれないんだ?」
「あ、麻璃央くんからだ。」
彼はいきなりスマホを取り出して、そう言う。
いや、出んなよ。
折角、お互いの両親がいるっていうのに、2人してどんだけゆるいんだよ。
「今日の朝さ、心羽ちゃんから流司の寝顔、送られてきて、思わず電話しちゃった。」
なんでビデオ通話してんの。
てか、麻璃央さん、今日のこと知ってるはず・・・彼はそんな時に連絡するような人じゃなかったと思うんだけど。
「麻璃央さーん、麻璃央さんって、今日のこと知ってましたよね?」
「今日?・・・あっ!!ごめん!すぐ切る!じゃ、また!」
忘れてたんだ・・・。
「ねぇ心羽、俺の寝顔って、なんのことかな?」
電話が切れて、笑顔の彼がこちらを向く。
「ん?あ、お腹空いたんだよね?早く食べよ!」
「おい、後で覚えとけよ。」
「痛い痛いっ!」
ほっぺをぶにゅっとされて、めちゃくちゃ痛い。
「流司、女の子には優しくしなさい。」
「そうだそうだ!」
彼のお母さんの言葉に素早く反応して、彼を責める。
「うちの子、おしとやかじゃないから・・・女の子はもっと穏やかでいないと・・・。」
「確かに心羽はそうですね。でも俺は、そんなところも含めて、こいつだって思ったんです。俺にはこいつしかいないって・・・。」
そんな良いこと言っといて、照れんなや。
照れんのは、こっちの仕事だよ。
彼が顔どころか耳まで真っ赤にしたら、私はどう照れたらいいの?
「わ、私もだって・・・歯も髪もないじじぃになっても愛してるって誓ったじゃん。」
部屋が笑いに包まれる。
でも、ほんとのことだから。
どんな風に彼が変わっても、愛してるっていう気持ちは絶対に変わらない。
「お義父さん。」
私のお父さんだけがきょろきょろしてる。
お母さんにあんただよ、と言われて、やっと自分だと理解したみたい。
お父さん、ちょっと天然なとこあるから・・・。
流司さん、あの言葉、言ってくれるのかな・・・?