第14章 Sugar14
「流司さん、私はなにを作ればいいでしょうか?!」
彼が帰ってきて、おかえりも言わず、開口一番にそう聞く。
「ただいま。」
「あ、おかえり。」
え、待って、私の質問はシカト?
靴を脱いで、中に入っていく彼。
「え、ちょっ・・・流司さん!聞いてる?!」
「あぁもう、うっさいな。そんなん、なんでもいいだろ。」
酷いな!!
初めて会う婚約者の両親にご飯作るんだよ?
悩んであたりまえでしょ。
なんでもいいわけないじゃん。
流司さんのお母さんに、味噌汁の作り方教えて貰わなくちゃ。
じゃなくて、作るもの考えなきゃ。
「流司さん、なに食べたい?お母さんとお父さんが好きなものは?お母さんが得意な料理は?」
「だから、なんでもいいって。お前が作りたいもの作れば?得意なものとか。」
ご両親の口に合わなきゃダメなんだって。
嫌いなものとか、作ったらどうすんの。
第一印象、最悪じゃん。
「父さんは生の玉ねぎがムリ。母さんは、ゲテモノが苦手。」
「っ!・・・ありがとう!!」
ソファーに座っている彼に、後ろから抱きついた。
「ちょ、苦しい。」
流司さんが好きなもので、生の玉ねぎとゲテモノを使わないもの・・・。
「流司さんって、肉じゃが好きだよね?」
「まぁ。」
難易度は高いかもしんないけど、好感度はきっと高い!
玉ねぎはめちゃくちゃ火通せば大丈夫!
メインは決まったけど、あとなにがいいかな・・・。
味噌汁は・・・シンプルにわかめと豆腐、油揚げでいいか。
ほんれんそうのおひたしに・・・だし巻き玉子。
あとは・・・焼き魚?
「よしっ!流司さん、楽しみにしてて!」
「んー。」
スマホに夢中かよ。
お昼に焼き魚か・・・朝ご飯、なににしよっかな。
「流司さん、明日の朝、パンでもいい?」
「んー。」
たぶん明日、緊張とかでほとんど話せないと思うから、今のうちに流司さんとたくさん話しておきたいのに・・・。
「そういえばさ、俺に急とか言わないでよ。親が急にこっちに来るって言ったから、こうなったんだから。」
「あ、そうだったの?ごめんね。確かに良い機会だもんね。」
彼に抱きついたまま、指を絡めた。