第14章 Sugar14
彼の前まで行くと腕を引っ張られて、彼の肩に顎が乗り、そのままきつく抱き締められた。
「ごめんなさい、流司さん・・・。」
「もう謝んのはなし。・・・てか、俺の方こそ、ごめん。怒鳴って・・・。」
少し弱々しい彼。
どんな貴方も好きだけど、意地悪な貴方が1番好き。
「ほんとはもっと優しくしたかった。お前が優しい奴だってこと、知ってるから・・・。すげぇ悩んだんだろ?答えは決まってるのに、それを麻璃央くんに言うことが出来なくて・・・。」
髪を梳くように撫でる手が、心地良い。
答えは決まってるんだから、悩む必要なんてなかった。
私が弱いせいで、流司さんも麻璃央さんも傷付けて、2人の間に絶対に作ってはいけない溝を作ってしまった。
前よりも、もっと深く・・・。
2人とも優しいから、それを私に感じさせないために、いつも通りをしてくれる。
「っう・・・ぁうっ、うぅっ・・・。」
そんな自分が嫌で・・・涙が溢れてくる。
「・・・俺らはお前を泣かせたくないだけなのに・・・幸せになって欲しいだけなのに・・・苦しめてばっかだな・・・。」
彼のその言葉で、涙が余計溢れてくる。
「うあ・・・ああ、流司さんっ麻璃央さんっ、ごめんなさい・・・すぐ泣いて、ごめんなさいっ・・・もっと、強くなるからっ・・・ぅわああーんっ!!」
声をあげて泣いた。
これで最後にするから。
自分が嫌で・・・弱いのが嫌で泣くの、最後にするから。
これからは、嬉し涙だけ流すから。
おでこをくっ付けて、ほっぺを撫でられる。
彼の目にもたくさんの涙が溜まっていた。
零さないと、必死になっているけど・・・我慢しないで。
優しく触れるだけのキスが、今の私の心を癒してくれる。
キスで閉じた目を開けると、涙を流す彼と目が合った。
八重歯を見せて微笑んだ彼が、私の腰を掴んだまま後ろに倒れて、彼を押し倒す状態になってしまった。
「お前が泣くから、俺まで泣いちゃったじゃんか。」
おどけた様に手の甲で涙を拭って、目元を隠した。
その腕を掴んで、ベッドに縫い付ける。
「なにすんの?」
泣き顔、もっと見たいな、なんて。