第14章 Sugar14
結局私は全部、彼に頼っちゃうんだ。
ちゃんと自分の口で断らなきゃいけないのに・・・。
「流司さんといない時の私の時間頂戴って、浮気しよって・・・麻璃央さんに・・・キスも口に・・・。」
どうか麻璃央さんを責めないで・・・全部私が悪いんだから。
キスを防げなかった、断れなかった私が悪いんだ。
すると彼は突然スマホを操作して、耳にあてる。
「これから時間ある?会って話したい。・・・うん、じゃあ俺ん家来て。」
それだけ話すと、電話を切ってスマホを置いた。
「流司さん?」
「俺たちだけじゃダメでしょ。もう1人必要な人呼んだから。」
もう1人必要な人・・・この話の流れじゃ、麻璃央さんしかありえないか。
てか今、会いたくないんだけど。
会わなきゃいけないけど。
30分程経つと、インターホンが鳴った。
彼と2人で玄関に向かう。
「全部わかってるよ、みたいな顔すんなよ。」
「わかってるからね。これから話す内容も、心羽ちゃんから言われることも。だから、ちゃんと来た俺を褒めて欲しいな。」
「褒められるようなことしてねぇだろ。」
少し怒りを含んだ、彼の声と口調。
私にはあんなに優しかったのに・・・。
「そうだな。」
麻璃央さんも真面目な顔になって、中に入る。
部屋に入って、流司さんはベッドに座り、麻璃央さんをソファーに座らせる。
私は流司さんの向かい側で床に座った。
少しの間沈黙が流れて、それを壊したのは麻璃央さんだった。
「まず・・・ほんとにごめん!!キスしたことも、浮気しよって言ったことも。」
「なにがごめんだよ!謝るくらいならすんじゃねぇよ!こいつのこと、泣かせんなよっ!!こいつも俺も、お前のことどんだけ大切に思ってんのか、知ってんのかっ!?」
「流司さん、麻璃央さんを責めないで・・・。」
「あ!?」
叫ぶ様に麻璃央さんを非難した彼に、小さく呟いた。
怖い・・・睨まれた。
「お前もだよ!なんですぐ断んねぇんだよ!!なんだったの?あれはウソだったのかよ!俺のファンに誓ったのはっ!!」
違う、ウソなんかじゃない。
怒って叫ぶ彼を前に、私も麻璃央さんもなにも言えずにいた。