第13章 Sugar13
シャワーを浴び終わり、頭にタオルを掛けたままソファーに座った。
「ちゃんと髪乾かさないと、ダメだよ。」
「お前は?」
そう聞くと、俺の髪が特に傷みがやばいからだって。
そりゃ、傷んでるに決まってんじゃん。
どんだけ染めたと思ってんの。
「俺の髪は、もうどうにもならないからいいの。」
「どうにでもなるよ。ちゃんとケアすれば、清光みたいに綺麗な黒髪なるよ?」
「ならねぇって。」
なんで黒髪、限定なんだよ。
メイクさんが言ってるってことは、本当なんだろうけど・・・どんだけの時間と金と手間がかかんだよ。
「じゃあ、ケアは心羽がしてね。」
「家にいない日だって多いくせに・・・。」
「してね?」
彼女から言い出したんだから、ちゃんとやってもらんなきゃ。
「物は俺が買うから、丁寧にやれよ。」
「やってもらう立場のくせに、どんだけ上から目線なのよ。」
なんか聞こえるけど、聞かなかったことにしよう。
彼女がドライヤーを付けて乾かしてくれる。
今日は、彼女が持ってる物でやってくれるみたい。
ドライヤーのやり方とかもちゃんとあるみたいで、丁寧に乾かしてくれる。
なんか、冷たいのと温かいの交互にあてられてるんだけど。
「流司さん、アイロンも傷む原因だからね。」
「知ってるよ、そんなこと。でもアイロンなきゃ死ぬ。」
「やるなとは言ってないから。ちゃんとケアしたげるから、大丈夫だよ。」
ドライヤーの最初と最後に、なんかよくわかんない液体付けられたけど、気にせず、なにかは聞かなかった。
「流司さんってさ、花に例えると、赤いガーベラだよね。」
「は?なに、急に。」
スマホを弄ってたら、なんか急に意味わかんないことを言ってきた。
「赤いガーベラの花言葉知ってる?」
「知ってると思う?」
首を横に振る彼女。
なら、聞くなよ。
「神秘、愛情、限りない挑戦、常に前進、チャレンジ。正に流司さんじゃない!?」
「さぁ・・・。」
俺はそんなに強くない。
そうありたいとは、思うけど。
「流司さんはいつも、新しいことに挑戦して、前ばっか見てる。だから私は、置いてかれないように、必死に追いかけてるんだよ。」
お前はいつも、俺の横にいてくれてんじゃん。