第13章 Sugar13
開場中が笑いに包まれる。
ただの、おじいさんって言わないとこが、流司さんらしいよね。
「じゃ、誓いのキスね。」
「待って・・・ほんとにするの?」
「式は、しないと終わらないよ?」
いやだって、ここは式場じゃないし、銀河劇場だよ?
「ちょ、ちょちょちょっ・・・まっ・・・あ・・・。」
めっちゃ混乱してたら、おでこに一瞬だけ唇が触れた。
「なに、期待してんの?口にするはずないねぇだろ、バーカ。」
「なっ・・・期待なんてしてないしっ!」
なんなの?
なんでそんな意地悪なの?
「主たちにはこれね?」
フェイントに見せかけて攻撃ー!って投げちゅーしてる。
主さんたちいいな・・・私もそれ、欲しい。
直接してもらったけども・・・やっぱリアル清光からしてもらいたいわけで・・・。
なんかもう・・・きゃーきゃー!すごいな・・・。
愛されてんなぁ・・・流司さん。
私まで嬉しくなる。
すっごい満足気な顔をして、じゃまたねー、って帰って行こうとする。
待ってよ、置いてかないで。
「清光、待ってー!」
袖で止まってくれたので、近くまで行くと、また主さんたちに向き直る。
「主たち、今日はほんとにありがと。」
「ありがとうございました!」
そのまま裏に戻っていく。
ありがとー!おめでとー!って声が聞こえる。
祝福、してくれてる。
やばい・・・流司さんのファン、最高。
「流司さぁぁぁん!!やばい、大好き!」
「うん。」
彼に抱き着いて、泣き喚く。
いつもなら、うっさいって言われるけど。
「流司さんのファン、大好き!」
「いや、俺じゃねぇのかよ。」
もちろん流司さんも好きだよ。
「あの人たちが、こんな俺を好きだって言ってくれる人たちだよ。初めてでしょ、舞台から見るのは。」
優しく頭を撫でながらそう言う彼の声は、とっても嬉しそうだった。
ファンの子たちのこと、大好きなんだね。
妬けちゃうくらい、優しくて嬉しそうな声。
「てか、そんなくっ付いて、汗臭くないの?」
「全然。」
「そっか。」
むしろ、この匂いが好き。
香水とかじゃなくて、汗の方が好き。
奇跡が起こり始めてる。
あとは、神様の前で永遠を誓うだけ。