第12章 Sugar12
「1つだけ聞いてもいい?」
「なに?」
「どうして、公表するまでしないの?」
仕事に専念したいっていっても、今までは普通にしてたじゃん。
「なんて言えばいいのかな・・・公表するって決めたからには、ファンの皆にちゃんと認めてもらえてから、そういうことしたい。それにお前したら、仕事辛くなるでしょ?」
彼なりにいろんなことを考えていたんだ。
私のことも・・・。
それが聞けたから、私、我慢出来るよ。
どんなことがあっても、我慢する。
私だって、ファンの皆に認めてもらいたいもん。
「流司さんに触ってもらいたくても、我慢するよ。じ、自分でする・・・。」
「最後なんて言った?もっかい。」
絶対、聞こえたでしょ。
顔がニヤついてるよ?
「言わない。」
「ベッド使っていいよ?」
「聞こえてんじゃん!」
笑う彼の八重歯が見えた。
その八重歯、好きな人いっぱいいるよね、きっと。
「あとは付けなくていいの?流司さんのって、印・・・。」
「印付けなくても、お前は俺のだよ。皆知ってるでしょ。」
そうだね。
それにどうせ、私なんかを好きになってくれる人なんて、ほんのひと握り。
麻璃央さん、そして流司さん。
流司さん、貴方に愛されてるのなら、それ以外はいらないよ。
大切な人を傷付けて、掴んだ二人の幸せだもん、絶対に離したりなんかしない。
左薬指にはめられた、ピンクオパールを撫でた。
「なに考えてんの?」
「へ?あぁ・・・これからのこと。」
にっこりと笑って答えた。
「あ、にっかりと?」
「は?なに急に。」
「あ、いや、なんでもない。」
考えていたことが、口に出てしまった。
「なに、他の男のこと考えてたの?」
「違うよ。」
違うよね?
麻璃央さんのことは、仕様がないよね?
「大切な人を傷付けて、今、流司さんとこうして2人でいれるから、これからもずっと一緒にいたいなって。」
「はい、そういうこと言わない。傷付けた人の分、幸せでいなきゃいけないのは、あたりまえでしょ?」
大好きだ。
大丈夫、一緒にいるだけで幸せだから。
別にえっちだけが、愛情表現じゃない。
今は大丈夫だって思える。
貴方の気持ちが伝わってくるから。