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甘い貴方を見つけるまで【佐藤流司】裏

第11章 Sugar11


「広大くん、おはよ!」


「おはよ、心羽ちゃん!」


なんでだよ。

なんで他のみんなとは、普通に話してんだよ。


会場に着いて、彼女はいつものようにみんなに振る舞っていた。

俺とは口聞かないくせに。


不貞腐れていると、隣に優衣が来た。


「あんた、またなんかした?」


「なんで?」


バレてるのかよ。

他も気付いてんのかな。


「心羽ちゃん、全然あんたのこと見ようとしないし、話そうともしない。」


「謝ったのに、許してくんない。いや、許してはくれてんのかな?」


彼女を目で追っていると・・・今、目合った!


「ね、今、目合った!心羽、俺のこと見た!」


「いや、どんだけ喜んでんのよ。」


優衣は呆れたように笑って言った。


彼女を見ていると、突然、俺の方に向かって走って来る。


どうしたんだろう。


俺の前で止まって、ただつっ立ってる。


「どうした?」


黙ったまま、俯いてる。

俺を見てよ。


どうしたいのかわからず、俺は彼女を見つめた。


すると彼女は、少し屈み俺の腕を取って、手首に唇を付けた。


「心羽?・・・っ!」


彼女の行動の意味がわからず、名前を呼ぶと、急に噛まれた。

そんな強くは噛まれてないけど、びっくりした。


唇を離し、どっかへ行ってしまった。


「なんだったの?」


「もしかして心羽ちゃん、嫉妬した?」


「は?」


なんでそうなんだよ。


噛まれた手首を見ると、歯型が軽く付いていて、唾液が付いたのか、少し光ってる。


「キスって場所によって意味が違うって言うじゃん?手首にキスしたってことは、流司は私のだって言いたかったんじゃない?」


「なにそれ・・・。」


「男と女でも意味、違うらしいからね。」


ほんとにそういう意味だったら、俺・・・じっとしてられないんだけど。


「ちょっと行ってくる。」


「いってらー。」


彼女を追いかけるため、俺は走った。


心羽、俺はお前のだよ。

お前以外、誰のものでもない。

俺はお前しか、見てないんだから。








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