第11章 Sugar11
まぁ、わからなくはないけど。
私だって、彼を虐めたい時はある。
「運転手さんも、奥さんに意地悪言ったりします?」
「そうですね・・・昔は言ってました。でも、長くいると、そういう気持ちはなくなってきますよ。でも、一緒にいるのは、楽しいですね。たまに、手繋いでデートしたりしますしね。」
なんかいいな。
何年一緒にいても、そんなラブラブなの。
私たちも、そうなれるといいな・・・。
「手繋ぎデートいいですね、憧れます・・・。」
「しないんですか?若いのに・・・。」
したいよ・・・したいけど、出来るわけがない。
ただのデートですら、なかなか出来ないのに、手繋ぐなんてしたりしたら・・・炎上する。
「したいんですけど、彼の職業がちょっと・・・。」
「さっきファンがどうとか言ってましたけど、芸能人でしたか?ジャニーズとか?すみません、気付かなくて・・・。」
まぁ、知らないのは仕様がない。
テレビで活躍する人ではないから。
でも2.5の世界では、大人気なんだよ。
「ジャニーズじゃないですよ。この顔でジャニーズはムリですよ。」
なにをそんなに謙遜してるんだい。
ジャニーズにいてもおかしくない顔だから。
でももし、彼がジャニーズだったら私は・・・彼を選んでないし、そもそも出会ってなんかない。
「彼は、2.5次元っていうジャンルの舞台とかミュージカルに出でる、俳優さんなんです。」
「漫画とかアニメとかを舞台化したやつですね。今すごい人気ですもんね。彼女さんも役者さんで?」
「私はただのメイクさんです。」
もうちょっとで着きそう。
外を見たら、マンションの近付くの風景だった。
運転手さんと盛り上がってしまった。
「流司さん、歩けそう?」
「たぶん・・・。」
マンションの前に着いて、運転手さんにお礼をして降りた。
彼に肩を貸して歩く。
さっきよりは、楽そうだね。
「ごめん、飲み過ぎだよな・・・。」
「飲んでしまったもんは、仕様がない!」
エレベーターから降りて部屋の前に着き、鍵を開けた。
玄関に入って扉を閉めたら、いきなり唇を奪われて、流れるようにベッドに誘導された。
酔ってたんじゃないの?