第11章 Sugar11
「ちょっと、展開に付いていけないんだけど。」
広大くんが困り顔で、こちらに話しかける。
みんなもそんな感じだ。
「麻璃央くんは1回、こいつに告ってる。でもこいつは断った。でも、こいつは麻璃央くんを苦しめたことに苦しんだ。それを見て、俺も苦しんだ。・・・そんなとこ。」
「どんだけ簡単にまとめてんだよ。」
そうだよ、簡単過ぎだよ。
私はそのあとも苦しんだんだから。
流司さんがあんな嘘付いたから・・・。
「私は、流司さんのせいでも苦しんだんだからね!」
「あれは、お前が悪い。言ったじゃんか、振った男のことなんか、考えんなって。」
きっと睨んだ。
麻璃央さんだから、あんな風に考えてしまったんだよ?
振ったことを後悔してたわけじゃない。
傷付けたことが、私は辛かったの。
「お前が泣く必要あった?普通それは、麻璃央くんでしょ?お前が泣いたせいで麻璃央くんは、泣けなかったんだよ?そのことでもお前は、麻璃央くんを傷付けてる。」
「わかってるよ、そんなこと!でも、仕様がないじゃん、苦しかったんだもん・・・。」
「我慢しろよ。俺の前だけで泣けばよかったのに、麻璃央くんの前で泣く必要なかっただろ。」
怒ってる。
麻璃央さんが大切だから・・・。
彼の気持ちに応えられず傷付けてしまうのは、仕様がなかった。
でも、彼の前でたくさん泣いて告白したことを後悔させてしまった。
彼の方が辛いのに、私ばっかり泣いて、彼を泣かせてあげられなかった。
泣いた方が楽なのを、私は知ってるのに・・・。
「ごめんなさい。もうやだ、この話。」
「俺も。違う話しよ。」
「じゃあ、流司のプロポーズがどんなだったか、知りたい。」
優衣さんのその言葉に、流司さんが暴れ出した。
言うなという目で、私を睨んでくる。
「鈴木心羽、俺と結婚しろ。」
「え?」
みんな驚いてる。
だって最初、そう言われたんだもん。
「そのあとめっちゃ不安そうに、お願い結婚して・・・心羽じゃなきゃダメ。心羽以外、好きになるなんてムリ。」
「お前、まじやめろっ!」
「そのあとに指輪を出して、俺にお前のこれからの人生を下さいって言われました。」
流司さんが泣きそう。
てか、死にそう。