第8章 Sugar8
私を傷付けないための優しさが彼を苦しめるなら、私を壊してくれても構わない。
ただ、愛を伝え合って、抱き締め合って、キスするだけでよかった。
それ以上はしなくてよかった。
でも、それが貴方を苦しめてるってわかってるから、私はそれ以上を望むよ。
「流司さん、抱いて・・・。」
「は?」
最近、毎日のようにしてるのは、気のせいだろうか。
うん、きっと気のせいだ。
流司さんが私を愛してくれるのなら、それでいい。
貴方の愛が欲しいから・・・。
「して?」
仰向けになってる彼の顔の横に両手を置き、その整い過ぎた顔を見つめる。
彼は困ったように、眉を下げた。
「したくないって言ってたじゃん・・・俺をどうしたいの?」
私だけにしか、反応しない身体にしたい。
でもそんなことムリなの、わかってるから・・・どうか繋がってる瞬間だけでも、心の中を私だけで、溢れさせて・・・。
「私だけに欲情してって言ったら、流司さんはどうする?」
「そんなの決まってんじゃん。」
彼の目を見つめて、言葉の続きを待った。
「俺の身体はもう、お前だけにしか反応しない。」
「ウソ付かないで。例え好きじゃなくても、触られたら、その気がなくても反応しちゃうでしょ?」
男の人は、そういうもんなんでしょ?
だから、ムリなのはわかってる。
私だけに反応して、なんて・・・。
「じゃあ今度、誰かに頼んでみる?本気で俺のこと誘ってみて?って。」
「やだ、やめて。そんなの見たくない。流司さんは私の・・・。」
彼の心臓のところの服をぎゅっと握った。
貴方の心も身体も・・・全部、私だけのじゃなきゃ、やだ。
誰にも、貴方に触れて欲しくない。
真っ黒い独占欲が顔を出して、私を醜くする。
「じゃあ、信じろ。俺は全部、お前のもんだ。」
私の独占欲を全部受け止めて、優しく微笑む。
こんな甘い貴方、嫌いじゃない。
むしろ、大好き。
「だから、お前がしたくないっつうんなら、しなくていい。俺のことは、心羽、お前の好きなようにしていいんだよ。」
どうしよう・・・。
好きとか愛してるじゃ、私のこの気持ち伝えきれない。
「私のことも、流司さんの好きにして・・・。」
貴方なしじゃ、もう生きられない。