第8章 Sugar8
「もし私が、麻璃央さんを好きになったって言ったら、流司さんはどうするの?」
「言ったよな?もう離してやることなんて出来ないって。」
「ふふふっ。」
「なんだよ、キモいんだけど。 」
酷いなぁ。
「嬉しすぎて、笑っちゃう・・・。」
「意味わかんねぇ・・・。」
嬉しいと、笑顔になるでしょ?
それと、同じだよ。
「ねぇ流司さん、私を縛ってよ。」
「なに、やっぱそっちの趣味あった?」
縄で手足を縛れって言ってるんじゃないの。
「束縛して・・・私を流司さんの見えない縄で縛って・・・。」
「俺、もう束縛してると思ってたんだけど・・・?」
「もっともっと、きつく・・・。」
「やっぱお前、変態だよ。束縛して欲しいなんて・・・。」
好きだから縛って欲しいの。
流司さんから離れられないように・・・。
離れる気なんて、さらさらないけど。
すると、いきなり、首筋に鋭い痛みが走った。
また噛まれた。
彼は一度ペロッと舐めて離れ、
「印だって、束縛でしょ?」
なんて言って、意地悪に笑った。
つけてくれるのは嬉しいんだけど、これ、すっごく痛いんだよね。
「こ、この・・・噛み付き魔っ・・・!」
「ふーん、そんなこと言うんだ?嬉しいくせにさ・・・。」
私はもう、佐藤流司という悪魔に囚われている。
ずっとずっと前から・・・。
さっきまで、あんな弱々しい声出してたくせに、余裕たっぷりに私をからかうんだ。
「てかもう、寝るか・・・。1時過ぎてる・・・。」
「そうだね・・・。」
私はそのまま裸で、布団の中に入ろうとした。
「お前ソファーな。」
「なんでよっ!」
ここに来て、昔の彼が顔を出した。
私のことを好きなのか好きじゃないのか、わからない彼。
いつも私がどうでもよさそうな、ぶっきらぼうな彼だ。
「だってお前、今日したくないんでしょ?一緒に寝たら、なにするかわかんないよ?」
そうだ。
彼は私と出来ない時はこうだったんだ。
私を近付けようとしない。
いつも、一定の距離を置く。
それはたぶん、私を傷付けないための、彼なりの優しさ。
ほんと、不器用なんだから。
繋がってから、彼のことがだんだんわかってきた気がする。