【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第9章 優秀な泥棒
櫻「君の恋愛をどうこう言う気はない。ただあの指輪は、金持ちが単なる気まぐれでホイホイ衝動買いしたようなものじゃない。そこだけは勘違いしないでもらいたい。お嬢様の名誉にかけて」
松「…先輩…」
男「…確かに盗んだことは悪かったよ。でも、あんなデッカイ家に住んでるお嬢様だろ?指輪のひとつやふたつ…」
松「オマエ黙ってろよっ」
櫻「君には理解できないかもしれないな…」
男「ああ、わかんねぇよ。まったくなっ」
松「…ロープもっとキツくしとくか…」
男「あっ。痛いっ!痛いですッ!!」
エラそうなこと言ったけど、俺だって微妙なトコだよ。こんな短期間でどれだけ彼女のことを理解できてんだか…。ただ、それでも姉を想う、大事に思ってるその気持ちは、すごくよくわかるから。そういう子だってことも。
松「おまえさぁ、そんなんだから相手にされないんじゃねえの?」
男「っ!るっせぇな!人のこと馬鹿にしやがってどいつもこいつもっ」
松「おっとぉ。暴れんなって。どんどん締まるよ」
男「んおっ!う、腕、食い込んでるッ!痛い!ちぎれるっ!!」
松「だから動くなって!…どうします?」
櫻「うん。自業自得だから。」
松「だそうだ。ご愁傷サマ(笑)」
男「んな殺生な~~っ」
さて。そろそろ本当に指輪を奪還しに行かないとな。まーたお叱りを受ける…。
そいや、事件以来、笑顔らしい笑顔見た覚えがねぇな。あの不気味な含み笑いくらいしか。
櫻「…」
一刻も早く取り戻して、とびっきりの笑顔を拝みたいね。