【S】Moebius Ring~目覚めたら執事!?~
第9章 優秀な泥棒
松「ていうかさ、サイズ合ってんの?彼女」
男「え?サイズ…って?」
え。まさかコイツ、それもわかんないで贈ったの?
松「…あんね。指輪にはサイズってもんがあんの。はめられないモン貰って嬉しいか?何の役にもたたねえよ?」
男「で、でもっ、どの指かには…はいるだろっ?店にだって、普通にいろいろ、売ってるじゃねえかっ!」
松「バァ~カ。それはごくごく一般的な範囲の話だろ。サイズなんて微妙なもんなんだよ。大体…クドクドクドクド…」
あ~…。それ、あとでいいかな、松本くん。女を口説くテクニック講座は指輪が見つかったあとでやってくれるかな~?
ま、俺も一言だけ言っとくか。
櫻「でも君、やっぱり誤解してるよ」
男「…誤解?」
狙ってる女性にプレゼントしたいが金がない。そこへちょうど高級そうな指輪発見!金持ちのお嬢様のだし、ひとつくらい貰っても…
そういう出来心、わからなくはない。
でも
櫻「あの指輪は、そういうもんじゃないんだ」
そう。
あれは彼女の気持ちそのもの。最愛の姉への、思いのカタチ。
有り余る財産に囲まれていながら、生まれて初めてアルバイトして自ら稼ぐことから始めたそのプロジェクトは、指輪を購入するところまではスムーズにいった。あとは本人に渡すだけだったが、もともと姉自身が望んだ結婚でもないし、離れ離れになってしまったことが悲しくて、どうしても素直には祝えなかった。だからこの半年間、彼女はずっと渡せないでいたのだろう。
だが俺が休暇から戻り、何か他にもきっかけがあったようで、いよいよ渡そう!…という矢先に今回の事件が起こったのだ。