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転生して巻き込まれるがモブでありたい。

第1章 一章


「すみません、お尋ねしたいんですが…自殺とか考えられませんか?この職場、かなりブラック企業なんですけど…」

私はぽつりと呟いた。刑事達は考えつつ顔を見渡して加藤さんについて調べるようだった。しかし私自身の容疑は晴れていない為、そのまま連行されるように署まで御同行する事となる。冤罪だ!こんな非情な世界は大嫌いだ!誰も信じられない!今ならアヴェンジャーの巌窟王、エドモンを召喚出来る気がすると今の悲しい現実逃避をして見る。お前が殺したんだろう!知らないって言ってるでしょう!と言う無情過ぎる攻防戦を繰り返す。数時間後、証拠不十分により仮釈放となった私は苛立ちのまま大きく地団駄を踏んだ。どうせ私がボロを出さないかとかで影で見張っているんでしょう、でも残念でした。私自身本当になにも知らないのだ。私を見張った所でなにか出る訳ではない、けれどこれ程切ないものはないと泣きそうになる。潤む視界の中で私は駆ける、一生に一度しか経験出来ないだろう、容疑者にされて尋問される。国を守る刑事に信じて貰えなければ私は誰を信じればいいのだろうと家に帰るまで走った。

「もう一度…夢で、マーリンに会いたいなー…」

家に着いた私はドアを閉めて、自室に閉じ篭った。今日は疲れた、職場にはどう説明しようか。辞表よりもクビだろうな。印象悪いし…一応辞めるつもりはあった会社だが容疑者にされてクビというのは余りにもショックだった。この先、私は就職出来るのだろうかとベッドに潜り込み重い瞼を閉じて現実逃避を決め込んだ。

「マスター…泣いているのかい?」
「マーリン…そう見える?でも泣いていないよ」

漸くぐっすり眠れたようだ。夢でマーリンに会えるだなんて、本当に都合の良いありがたい夢である。このまま目覚めなければ…なんて思えばマーリンは微笑んだまま私の頬に手を添えて「それならずっとここに私といるかい?」と目を細めている。普通ならば今日あった事を愚痴のように零すつもりはなかった、けれどこれは私の夢。なにをしようが、なにを言おうが関係のない事だ。そう我慢していた涙を溢れさせて私は誰を信じればいいのだろうかと、私のこれからの人生はどうなってしまうのだろうかとボロボロ言葉を落とした。スッキリする私とは裏腹にマーリンの表情は曇るばかりだ。

「これは…王サマに早めて貰うしかないかな」

マーリンは考えて私を見つめ笑った。
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