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キヲク巡る

第1章 。。。


「―――ただいま。」


返事がする筈ない
だけどそう伝えたかった
きっと皆は寂しかっただろう
全てを忘れた主なんて。


小高い丘に戻ってきた
ここにある無数の刀達
やっと思い出せたから。

あの惨状の後、私はここに皆の本体を連れてきた
そして丘に1振りずつ
話しかけながら刺していった
せめて本体だけでも一緒にいたかったから

薬研だけは最後の最後まで私の側にいた
いつ絶えるか分からない。
最後まで私の側で全うしてくれた
そんな彼の願いは一つだった

「大将とずっと一緒にいたい」

考えた末に
薬研の本体を帯刀する事にした
いつも夢から起こしてくれるのは薬研だった
私に思い出させてくれようとしたのは皆だった

苦しい事だけじゃなかったよ
幸せに満ち溢れていて
最後だけ悲しい結末になったけど。

心の中で皆に話しかける
聞こえても聞こえなくてももういい。
私はみんなと一緒にいる約束をしたから。


はっと思い出して
私も薬研にお願いをする事にした


「ねぇ薬研?」
魂がいるのか分からない薬研に話しかける


「もう、起こさないでね」
優しく撫でながら丘の上で深く呼吸をする。


「全くわがままだな、大将は」

そうやって薬研は笑ってる気がする
すーっと睡魔がやってきた。
このまま―――。


皆と―――――――


眠り続け――――――。





「お!大将!待ったぜ!」
「あるじさまー!おかえりなさい!」
「おまんがおらんとなぁ!」
「全く、あなたも私もわがままなんですから」






「ただいま!」







end
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