第1章 砂漠の月00~70
月子がお湯の中でわたわたとしていると、隣から晴久と佐助の声が聞こえ月子がビクリと飛び跳ねる。
市とかすがといつきは特に気に留めていないのか、大丈夫だとか、ちょっとじゃれてただけなどと返している。
どうやら、衝立を挟んで隣が男湯だったらしい。恥ずかしさに真っ赤になって肩まで沈んでしまった月子に、苦笑したのは市とかすがだ。
「気にするな。見るような不届き者はあいつらに居ない」
「あう……はい」
よしよしとかすがに宥められ、こっくりと頷いた月子はのぼせると困るからと漸く身体を起こしてきちんと座り直す。
その様子を確認したかすががニヤリと笑うと、そろそろと市へ近づいていく。そうしてするりと手を伸ばすと、市の身体に触れた。
「市はスタイルが良くて羨ましいな」
「ふぇ? かすが? どこ触って、く、くすぐったい」
「市姉ちゃんはどこ触っても気持ちいいだよ。おらも混ざるだ! ほら、月子ちゃんも行くだよ!」
楽しげに市をくすぐり始めたかすがに、目をキラキラさせたいつきが月子の手を引いて混ざりに行く。
「ちょっ、まっ、いつきちゃんに月子ちゃんまで混じらないでぇ!」
「ほんとだ、すべすべで気持ちいい」
「やあこいだよ」
「気持ちいいな、さすが市だ」
月子が触れているのは手や腕で、いつきは月子の反対側、がっつりくすぐっているのはかすがだけだが両手を塞がれた状態の市では反抗のしようもない。
擽られるままに悶えて息も絶え絶えの頃、衝立の向こうから不機嫌そうな元就の声が響いた。
「我も触れておらぬのに何をしている!」
「旦那、旦那、ダダ漏れてるから」
聞こえた声にピタリと動きを止めた女性陣は、次の瞬間市の顔を見つめてしまい市が全身を真っ赤にしてフルフルと震えると腹の底から叫んだ。
「ばかあああああぁぁぁぁっ!!」