第1章 砂漠の月00~70
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「月子ちゃん、いつきちゃん、かすが、露天風呂、行かない?」
「露天風呂、ですか?」
「あるのか?」
「近くにあるって、さっきスタッフの人が教えてくれたの」
「行きたいだ!」
今日も今日とて山遊びを堪能していた市たちは、とある施設でこんなところもあるんですよという宣伝のチラシを貰って覗き込んでいた。
そこには、綺麗な森の中で堪能できる露天風呂、天然温泉の文字があり、女性陣はやはり風呂が好きなのか乗り気になって黒羽に運転を頼んでいる所だった。
「我らも行く故、少し待っておれ」
コテージで準備をしていた市たちの部屋に顔を出した元就が、男性陣にも行きたい者がいるからと玄関で合流の旨を告げてきたのでそれに了承して玄関に待機する。
集まってきたのは誰かと思えば全員で、結局全員揃って露天風呂に入りに行くことになった。
着いた施設はそこそこ古い趣があるものの綺麗にしてあり、女性と男性に分かれて中に入っていく。
市もかすがもあまり気にしないのかさっさと脱いでタオルを当てて中に入っていく。月子はやや恥ずかしい気もしながらも、女性ばかりだしと脱いで中に入ると、中はタイミングが良かったのか四人の貸切状態だった。
掛け湯をして身体を洗い、露天風呂に着くとスタイルの良い二人はもう浸かっていた。
「市先輩もかすが先輩もスタイル良いですね……」
「そうか? 私より市の方が綺麗だぞ?」
「えぇ? かすがの方が、綺麗」
「どっちも気持ちいいべ!」
四人ならんで入りながら、月子がしみじみと感想を言うとそれぞれが反応してくる。そうして彷徨った視線は月子にも集まり、言いだしっぺではあるが居心地悪くもじもじとする。
「月子も言うほどダメじゃないな」
「そうよ、ね」
「ふぇっ?!」
じっと見てくる視線に耐えかねかけた所で、かすがと市に言われて変な声が出て慌てて口に手を当てる。
全身を赤く染める様子に可愛いといつきも混じって三方から抱き着かれ、ひぇーっ! と情けない声と共にざっぱーんという水音が響いた。
「おーい、何やってんだ?」
「お風呂で暴れると危ないよー?」