第1章 砂漠の月00~70
その様子を遠巻きに見ていた他の四人が驚いていたが、付き合いが浅い月子はそれが滅多に見れないものだとは知らない。知らないが、初めて見るその表情に赤面して、それ以上の文句を言うことも出来ずまた唐突に口籠ると俯いて手首のブレスレットを見つめる。
琥珀と薄い黄色、時折薄い蒼が混じる月をイメージしてあるようなブレスレットを優しく撫でて、チラリと視線を上げるとやっぱり柔らかい表情で笑ってる晴久が居て頬の熱は昇る一方になる。
それでも、お礼を言っていないからと小さな声で月子が告げる。
「大事にします。ありがとうございます」
「ん、俺もありがとうな」
ぽんぽんと撫でる手が離れ、晴久に市と元就が空いたみたいだと言われて顔を上げた月子は、行ってくると晴久に告げてぱたぱたと市たちの所へと駆けて行く。
こちらを見ていた四人に生ぬるい視線を投げられた晴久は、未だ自覚がないので首を傾げゆっくりとした歩調で月子を追いかける。
市と元就の所に着いた月子は作ったストラップを手渡し、頭を撫でられて嬉しそうに笑っている。晴久が合流すると、作り終った六人はスタッフに礼を言って工房を出た。
お昼はバーベキュー場があるというので、保護者組が材料を買いに出て、遊び終わったらバーベキュー場に集合ということになっていた。
午後は全員でパークゴルフに行く予定になっている。
「政宗兄ちゃん! 小十郎兄ちゃん!!」
バーベキュー場には外で遊んでいた組がもう辿り着いていて、それぞれ準備を開始していた。準備と言っても皿を配ったりなどで火は既に熾されているし、肉は切られたものが用意されて切るのは野菜くらいの物であるし、その辺は保護者組が準備しておいてくれたのでやることはない。
政宗と小十郎の姿を見つけて駆け出したいつきの後ろを、残りの五人がのんびりと見送っている。小十郎に飛び付いたいつきが、さっそく二人にそれぞれをイメージして作ったアクセサリーを渡して喜ばれている。
市たちも早く来いと呼ばれて、少し足を速めると合流して昼食はバーベキューを堪能した。