第1章 砂漠の月00~70
「尼子先輩! 部活動お疲れ様です! コレ、良かったら使ってください!」
「あ? お前……」
「月子です! 未開封のスポーツドリンクと、新品のタオルなら使えますよね?」
声を掛ければ、やっぱり訝しげな表情をされたがさすがに顔は覚えていてもらえたらしい。もう一度名乗って、にこにこと押せ押せで紙袋を差し出せばやっぱり呆然としながらも受け取った晴久に更に笑顔が深くなる。
「風邪、引かないでくださいね! では、また明日! 朝のご挨拶させて頂きますね!」
ぴっと敬礼もどきを決めてぱっと踵を返すと、月子は逃げるように立ち去った。