第1章 砂漠の月00~70
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ある学校の放課後。
市はお菓子作りの同好会が終わってそのまま、部活動に励む幼馴染みの元へ歩いてく。
巨大な体育館に着くと晴久と元就にタオルと飲料水を渡す笑顔の月子を見つけ思わず頬が緩んでしまう。
「よう市」
「市先輩、お疲れ様です」
「そちらも終わっていたか」
「うん、一緒に帰ろう」
帰る準備もできたよと、鞄を見せれば晴久と元就は着替えると言って更衣室に向かった
月子は荷物を持って笑顔で市に駆け寄る
「あ、良い匂い」
「ふふ、帰りに食べようね」
はい!と嬉しそうに笑う月子に、市は嬉しそうに手を伸ばし頭を撫でて
妹が出来たみたいだと笑顔で話す。
話してるうちに着替えた元就、晴久と合流して家路を歩いた。
カサカサと歩いてる最中に持ってた包みを見せたら3人のお腹が鳴って笑ってしまった
「今日はチョコマフィンです」
「美味しそう!」
「市」
晴久に呼ばれて何だ?と見たら両手に荷物を持ってる晴久が口をあーんと開けていて
それ私にしちゃう?マフィンを袋から出して見せびらかす様に宙を彷徨わせたまま
月子ちゃんの掌に置いてみると、視線がマフィンですよ晴久
「え、え?市先輩?」
「餌付け」
「月子、あー」
月子ちゃんの手に乗ってるお菓子を口に入れてくれ催促してるけど
晴久ってば無自覚ですよね。何て罪づくりな。
「えと、はい」
戸惑ってる月子ちゃんは真っ赤になりながら晴久の方を向き
おずおずと晴久の口にお菓子を運ぶと。さんきゅ、とお菓子含んだまま喋らないの行儀が悪いよ
所謂はい、あーんですね。私は慣れてるけど月子ちゃんは大丈夫かしら
「元就も要る?」
「無論」
私が元就に、月子ちゃんは晴久に
口にお菓子を入れるこの光景なんじゃこら。
そろそろ月子ちゃんが赤くなりすぎてゆでだこだから
晴久、ちょっと荷物持っててあげるから自分で食べなさい。
「面倒」
「ぶつよ」
「申し訳ありません」
お菓子食べるのに面倒とか、もう作らんよ?