第2章 砂漠の月71~150
ソファで動かない月子を心配して見に来た晴久が、顔を覗き込んでとろりと今にも寝そうな表情に苦笑する。
確信を持って言えば小さく頷いた月子がごそりと場所を移動して、小さくパタパタと隣を叩く。晴久がそれにクスリと笑いながら促された場所に座ると、月子が身体を預けるように寄りかかって目を閉じた。
数分も経たずに静かな寝息が立ち、外からいつきが駆け込んできてもさっぱりと目を開かない。
「月子ちゃん、寝てるだか?」
「ああ、昼間のバレーと泳いだので限界だった見たいだな」
「そうかぁ……今から花火やるんだけんど、無理そうだなぁ」
「今回は無理そうだな。俺は月子と居るから、いつきはやってこいよ」
「わかっただ。したら、市姉ちゃんたちにもそう言っとくだよ」
「おう、頼む」
月子の顔を覗き込み、少しだけ残念そうにしたいつきを促し、晴久が見送ると月子がすりっと頭をすり寄せる。
寝息は深くなる一方でその行動が無意識だと知れるが、だからこそ嬉しいのか晴久の口元が緩む。
その日は結局月子に割り振られた部屋に眠ったままの本人を晴久が運び入れ、寝かしつけて終わり翌朝全員に平謝りしている月子が見られた。