第2章 砂漠の月71~150
理由は簡単である、月子は打ち上げる時にはボールにのみ集中していて誰にも、相手側のコートにすら視線を送っていないのだ。
スキーと良い、今回のトスと良い、意外なダークフォースである。ただし、レシーブやスパイクは出来ないので個人では決して強力な戦力ではない。
この四人だからだろうと冷静に見ているのは佐助だけで、予想外にじわじわと点数を取られて焦りに集中力が削られてしまっている。
「これで最後だっ!」
バシッと良い音がして、スパイクを決めたのは晴久で十五点先取で勝敗が決まるというルールだった今回の試合、十五点目をもぎ取ると審判から終了の声が掛かった。
悔しそうに地団太を踏む元親と政宗を横目に、よしよしと月子を褒めて撫でている晴久と市を労う元就。幸村だけが爽やかに、負けたでござる! とか笑顔で負けを受け入れていた。
そうして終わった昼間の海水浴、月子はお風呂が終わるとすっかりと疲れが出たのかソファで今にも寝そうになっていた。
「おーい、月子?」
「ん……晴久さん」
「眠いんだな」
「ぅん」