第1章 砂漠の月00~70
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親の会社が再起不能まで陥り、今日は織田家に泊まりなさいと市の手に引かれ
月子は市の手伝いもあり軽く荷物を纏めて織田家に来ていた。
「馬鹿者」
「はい…」
「阿呆」
「もっともです」
「もう二度と晴久の前から消えようと思うでない」
「え」
「何ぞ」
「いえっ」
元就からちくちくと言葉で刺されていたのだが
思いがけぬ言葉に一瞬間の抜けた顔をする月子に市は困った様な顔で温かいココアを皆に配る
「あの…織田理事長。この度は、その、申し訳ありませんでした」
「フン、是非も無し」
ソファに座って、元就達が説教してる光景を眺めていた信長はニイっと笑う。
黒羽と雹牙、昴はやれやれといった風に苦笑いを浮かべて
織田の者が勢揃い&晴久と元就の説教で何の拷問だと市は心の中でごちる
「もう、元就。そろそろ許してあげてね」
市は月子の横に座り、ぎゅうっと抱き締めるとその温かさに月子の目からポロリと涙が零れた。
「あー、もう泣かすな元就」
「事実を述べた迄よ」
「いえ、晴久先輩、毛利先輩に、認められて嬉しくてっ」
「元就」
「も、となり、せんぱい」
「良しとする」
何だか元就の疑惑は晴れた様なので良いのかね。
ほんとにツンデレなんだから、肘で小突くと晴久もしょうがねえな、という顔で
月子ちゃんの頭をわしわしと撫でた
「ほら2人ともお説教終わり。ご飯できたよ」
今日は心もあったまるシチューですよ、優しい笑顔でそう言われて
また、涙を流しながら市にべったりくっ付く月子にまた笑みが零れる。
可愛い~と、市の中の萌えゲージが上がってぎゅぎゅうと抱き合って何やってるんだか
「暫くは平和ですね」
「えー、黒羽さん。動いたの俺ですけど荒波にもならない事でしたよ」
「?」
「「何でもないです」」
そこ、ナチュラルに忍の会話するんじゃない。
月子ちゃんが理解しちゃったらどうすんの、ご飯支度の手伝いしてください。