第1章 砂漠の月00~70
元就の呼び掛けに覚悟を決めたような表情で応えた月子は、言われた言葉に目を見開き晴久と元就の顔を交互に見る。
ジワリとまた涙が滲んでくるのを慌てて瞬きをして振り払うと、怒りが滲む元就の目とかち合った。
「ようも何も言わず消えようとしたな……」
低い声にびくりと身体を揺らした月子は、しかし断罪されても仕方ない事をしたのだからと唇を噛み締め俯く。
元就の怒りは、晴久を傷付けたせいだと月子も理解している。
説教は免れないし、これで縁が切られることも覚悟した。
自然と無意識に正座になった月子に、晴久と元就がちらりと視線を合わせて元就は小さくそれとは分からないように息を吐き、晴久はフッと笑みを零す。
そうして始まった怒涛の説教は、明日からも変わらない日常、つまりは晴久とも市とも友達のまま婆娑羅学園に通い友情を育むことという内容で締めくくられ聞き終わった月子が再び盛大に泣き出すこととなった。
ついでに、市からも次のお泊り会への参加を強制決定されてそこで説教されることとなったが、それはまた別の話である。