第2章 砂漠の月71~150
「俺らでこれなら、月子ん時はどうなるんだろうなぁ……」
「毎年毎年ようやるわ」
「お前もな、過保護」
「ほっとけ」
しみじみと呟く晴久に、機嫌悪く同意したのは元就で今回婆裟羅者が自分たちの学年では見学に至った原因の晴久に突っ込んだのはかすがである。
市はよくわからないという表情で首を傾げ、みんな元気だねと笑ってみていた。
婆裟羅者がプールに入らない理由……それはひとえに注目を集めた状態での月子のプール授業が今年初めてだからである。
去年はまださほど騒がれるようなことはなかったが、一年経った今はすっかりと自分たち同様に注目されているのである。水着姿など披露すればどうなるかは、二年前の自分たちを思い出せば簡単に予測できた。
そこで市の兄でありこの学園の理事長である信長に相談した結果、婆裟羅者全員で月子の学年の指導員になることになったというわけである。
全員特にこだわりがないため、その案はあっさりと通りなんだかんだ言いつつも心配したかすがや一緒に楽しめるならと喜んだ市もその指導員に乗り気である。
そして訪れた月子たちのプール時間。指導員の噂を聞きつけた生徒により、月子の学年にあっという間に広がった話は事実として目の前に広がっていた。
「うわぁ……! 毛利先輩と尼子先輩がいる!」
「きゃーっ! 長宗我部先輩もっ! かっこいい!!」
「やだっ、政宗先輩細いのにあんなにっ!」
「それ言ったら大体の人がそうじゃない、あの先輩たちって!」
プールの入り口で固まって道を塞ぎながら遠巻きに騒ぐ女子生徒の横で、男子生徒もまた市とかすがの水着姿に興奮を抑えられずガン見したが直後に氷漬けにされたように真っ青になる。
「お、おい……」
「いや、でも俺は見る! 見るぞ!! 今だけの眼福だ!」
「俺だって!」
「や、やめとけって、馬鹿!」