第2章 砂漠の月71~150
142
父の日に、毛利の父に渡した後に晴久と共に尼子家を訪ねプレゼントを渡した月子は、何故か泊まってけコールが始まって毛利の家に連絡を入れることになった。
それはそれで、最近では日常になりつつあるため、多少毛利の父に渋られはしたがお泊りして平穏に乗り切った。
ちなみに渡したプレゼントはこちらも着物が普段着だと言うのでそれに合う小物と、市と同様に名入りのお酒であったのはご愛嬌である。
そんなほのぼのとした日も過ぎて、学園ではプール開きの日が訪れた。昨年もだが今年も男子生徒はプール開きの日が決まると共に、そわそわとし始めいろいろな噂をし始めた。どのような噂かというと、女子生徒たちの水着に関する噂である。
というのも、このBASARA学園ではプール授業での使用水着は個人の自由であり、どのような水着であっても問題ないとされているからである。
「去年は凄かったよなぁ……織田先輩と上杉先輩の水着」
「そうそう、すごい色っぽいのな!」
「あー……でもさ、今年はほら、毛利もちょっと期待しねぇ?」
教室の隅で男子生徒のそんな会話が盛り上がる中、女子生徒も似た様な話題を繰り広げている。
「今年も見れるのかしら……」
「タイミングが合えばじゃない? レーンを分けて学年でプール授業当たってるところが見れるの」
「そうよね。楽しみ!」
そんな浮きだった雰囲気の中で訪れたプール授業初日、市たち以外の生徒たちは歓喜に打ち震えていた。
今年のプール授業初日は各学年ごとに一斉に行われ、さらに初日だからと特に何か課題を設けず自由時間となることが決まったのだ。
市たちの学年は一番最初にプールに入ることになり、同学年の男子生徒が我先にと着替えてプール際に詰めかけた。
しかし、残念ながら市を含めた婆裟羅者たちは着替えずベンチに控えていた。
「えぇっ!? 今年は織田たち入らねぇのっ?!」
「今年こそは見れるとっ!!」
「もう来年はないというのに、なぜだぁっ!」
無断期待した男子生徒たちが叫ぶ中、ふんっと鼻で笑い睨んでいるのは市の隣に陣取った元就である。
晴久も一応はその男子生徒たちの顔を見ているものの、あまり重要視はしていない。何しろ市に関わることは、元就の方がチェックは厳しく後々恐ろしいのだ。