第2章 砂漠の月71~150
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「ただいま」
「弘元様!お帰りなさい、聞いて下さいまし!」
毛利家、帰宅した弘元は玄関まで迎えに来た、嬉しそうな妻を見て。
子供達から母の日の贈り物を貰ったのか、と口にすると嬉しそうに頷いた
何と市姫と晴久からもと聞いてほうっと、そう言えば卒業したら入籍する宣言してたなと思わず笑みが零れた。
「信長から恨まれそうだな」
「ふふ、市ちゃんは渡さないって一騎打ち仕掛けてきそうね」
「勝てる見込みが無いから辛いところだな」
「黒羽君達も来るのかしら?」
「さあ」
何を貰ったんだ?と問えば、小物と花。は?料理グッズ?少し青褪めながら良かったなと伝えると
至極嬉しそうにするから止めるわけにもいかず。はぁ
この心遣いは月子の優しさ故反対するわけにもいくまい。
「夕餉は市ちゃんと月子が作ってくれたのよ」
「頂こう」
乱世と違う、優しい時代に感謝しつつ、子供達が作ってくれた食事に舌鼓を打った。
…市姫はあの子にも母の日の贈り物をしたのだろうか。
所変わって織田の家では、にっこりと美しく微笑む黒羽にアイアンクローをされ、市は痛みで悶えていた
「あたたたたたた」
「またですか?予想はしてましたがまた私ですか?前世含めて懲りてないですねひーめーさーまー?」
「だって、怒り方とかおかーさーん!政宗も小十郎さまに贈ってるって言ってたもん!」
「伊達と一緒にするんじゃありません!全くしょうがありませんね。ありがとうございます」
「ふふ、やったあ」
わあい、と喜ぶ市の頭から手を離し、花束を受け取れば撫でてと言わんばかりに甘えてくる妹分に笑って
…何気に己の年齢と同じ数のカーネーションにがっくりと項垂れる。まあ、言っても聞かないのは前世からです諦めます。
くくくっと、己を笑う声にじとりと目を移せば、雹牙がニヤリと
言っておきますが来月は貴方でしょうね。それはそれ?父の日は薔薇の花ですか