第2章 砂漠の月71~150
一抱え有る花束を受け取りながら、母が涙目で満面の笑みを浮かべる。元就もマメなので毎年母の日はあったが、月子は養子になってから初めての母の日である。
ドキドキしながら手渡して、嬉しそうな母にホッとして泣きそうな笑顔を浮かべた。今から夕飯を作るからと母をリビングへ促して、元就と晴久は毛利の両親と、市と月子はキッチンで夕飯を作り賑やかに母の日を終えた。
その日の夜、市は帰宅して黒羽に母の日のプレゼントを渡して恒例のアイアンクローをされつつも受け取って貰い、月子も、今年だけと小野の家に来ていた織田の使用人の女性に頼み、小野の家の人にはばれないように出来るかは判らなかったが送り主の痕跡も残さないようにと頼みながら、実母へ一輪だけ最後の紅いカーネーションを贈った。