第2章 砂漠の月71~150
市は満面の笑みで頷いて月子を伴い花屋へと駆けていった。男性陣は後をのんびりと追い掛けて、到着するとカーネーションは定番から色んな色もあり、包み紙やリボンも色が豊富に取り揃えられていて相談の真っ最中である。
定番の定番、紅いカーネーションをメインにカスミソウと少しだけ淡い色のカーネーションを取り混ぜて、ラベンダー色と白いレースの包み紙で紅く太いリボンで結んでと色々決めてお金を払う。
買い物をしてから取りに来るのでと言づければ、快く請け負ってくれた店員さんに頼んで店を出る。
「喜んでもらえるでしょうか?」
「大丈夫よ、きっと」
「はい……」
少しだけ不安そうな表情の月子に、市も元就も頭を撫でて晴久は手を握ってくる。
きゅっと晴久の手を握り返してこくりと頷いた月子に、全員が微笑んでから漸く目的の百貨店へと入って行った。
グルグルとお昼を挟んで回った結果、晴久が言っていた洋服でも和服でも似合う小洒落た簪とどうしてもと譲らない月子の希望でキッチン便利グッズを個別に買うことになった。
花束を受け取って少し早目の帰宅となった。毛利の母は、月子が父へ連絡して家に居て貰っている。
「ただ今戻りました」
「ただいま」
「「お邪魔します」」
玄関を開けて声を掛けるとリビングからパタパタと足音をさせて母が出てきた。
プレゼントを渡すのは実息子の元就と今は娘となった月子の役目で、荷物を見て驚いた表情をする母に照れながら月子が花束を差し出す。
「いつもありがとうございます。大好きです、お母さん」
「これもだ。我ら四人からよ」